ご挨拶

 今年一月、浜藤ホールにて「めぐるいのちのコンサート~いわて川ものがたり~」を上演してから一年も経たないうちに同じ会場で再演できる運びとなりとてもうれしいです。応援してくださった皆様に厚く御礼申し上げます。

 

 再演といっても、前回とはだいぶ内容が変わります。

 

 「めぐるいのちのコンサート」は、いのちと愛・平和をテーマに、その時どきの世相を受けた想いに合わせて選曲し、お話を交えて行うコンサートです。この半年の大きな世の中の変化を受けて、前回とは大きく異なった選曲となります。

 

 「いわて川ものがたり」は、朗読とピアノ伴奏+四部合唱で構成された合唱組曲を、共演の金子忍さんがギターとコントラバス伴奏、二人での弾き語りの形に編曲して演奏しております。一月の公演では、作品全体の2/3程度の完成でしたが、今回はその後編曲した残りの曲と語りを合わせた完成版をついに全編上演します。前回までに上演した、岩手県内を流れる川の歴史と、百姓一揆、藤原三代の栄枯盛衰、アテルイ・モレの悲劇に加え、さらに戦後のダム建設と湖底に沈んだ村の歴史、そして東日本大震災へと繋がっていきます。

 

 この間、私たちは、作品背景を深めるために、作品内に登場する花巻、西和賀、遠野などを取材で訪れました。そこには歴史の中に消えていった名もなき人々の苦しみや悲しみ、そして世の不条理の痕跡が存在していました。

 

 「いのち」はかけがえのないものです。

 

 遥かなる太古から引き継がれてきた「いのち」のバトンを引き継ぐこと。そして、人々がどの時代に生きようとも「すべてのいのち」を慈しみ合い、共に助け合いながら生きる努力を続けることで世界が「平和」になるということ…。それらを発信し続け、次の世代に手渡すことが、今、私が出来ることだと考えています。

 

 いのち、愛、平和。この言葉を胸に、今回の公演も全力で取り組んでまいります。

 

 コンサートに彩りを添えてくださるのは、前回から引き続き「いわて川ものがたり」をモチーフに繭作品を作られた工房夢繭・花主宰の江見夏惠さんと、「いわて川ものがたり」の地理やイメージをより分かりやすく映像化してくださったスタジオククリの千田真弓さん、そして、照明を担当してくださる心象画家の池田卓哉さん。音楽と、色彩と、美しい光沢を放つ繭作品と共に、皆様のご来場を心よりお待ちしています。

 

 

 

吉田 水子